小規模で開業する 失敗しないパーソナルジム経営 4つのポイント

現在パーソナルトレーナーのお仕事をされている方の中には、いつかは自分のパーソナルジム(マイクロジム)を持つことを目標にしている方もいるかもしれません。パーソナルトレーナーの平均年収は550万円、努力して年収約850万円といわれています。これ以上の年収を希望する場合には、パーソナルジムを自分で経営するというのも一つの考え方です。30代で年収1000万円以上も夢ではありません。

最近の健康志向の高まりによりフィットネス市場は大きく成長しています。パーソナルジム(マイクロジム)ならば、初期費用がそれほど必要ではありません。またサービス業なので小売業のように仕入れや在庫を抱えることもないので粗利率も高い事業といえます。パーソナルトレーナーのスキルとマーケティングスキルがあれば独立しやすい業態です。しかし失敗し撤退したり、他でアルバイトをしながら経営を継続したりしている方も多くいらっしゃいます。

失敗しないパーソナルジムの開業・経営をするためには、パーソナルトレーナーとしての技術の他に経営者としてのスキルも必要になります。大型フィットネスジムの出店には大きな投資が必要になりますが、マンションの1室で営業するパーソナルジムならば、それほどの投資は必要ありません。

パーソナルジムの開業を検討中、または漠然と将来開業を考えているパーソナルトレーナーの方が押さえておくべき4つのポイントをお教えします。

1.小規模で開業する

自己資金が少ないことや借入が困難なことを想定すると初期費用を抑えた経営を考えましょう。大きく始めても最初からお客様が十分にはいないことが想定されるので、自分ひとりで運営できる規模で考えましょう。ポイントは3つです。

  • マンション1室から始める
  • 初期費用は300万円以内
  • 年間経費は240万円程度

1-1.マンション1室から始める

パーソナルジムはマンションの1室があれば経営できます。例えば月額15万円程度の物件で検討してみましょう。自分ひとりで運営するとなると売上目標は年商1200万円ぐらいでしょう。(1万円×100セッション/月x12ケ月)マンションで1日10人以上のお客様が来場することを想定すると借りられる物件も少なくなります。1日5人程度で検討しましょう。(1日5人 × 20日営業/月= 100セッション/月)

1-2.初期費用は300万円以内

家賃初期費用:90万円(敷金、礼金、前家賃2ケ月分)
機材初期費:100万円
部屋のリノベーション・WEBサイト開設費:30万円
その他立ち上げまでの生活費の補てんと家賃・その他費用:80万円(2か月分 月収40万円×2か月)

注意点として、このシミュレーションには最初にお客様が入らなかった場合、自分の生活費補てん分は2ケ月分程度しかありません。あらかじめ顧客の目途が立っていない場合、開業資金を多めに用意すべきでしょう。

1-3.年間経費は240万円程度

毎月の家賃、光熱費・水道・通信費:20万円×12ケ月=240万円、この経費費で考えると

売上:1200万円
年間経費:240万円
利益:960万円

利益の中から複数年で初期費用や初期の補てん分の返済を考え、残りからご自身の所得を考えます。

2.世帯年収の高い地域で開業する

パーソナルジムの経営において立地は重要です。1回1万円程度のパーソナルジムに通うことを考えると年収が高い地域にジムを開業するのがいいでしょう。大手のパーソナルジムでなく、またあなたがカリスマ的なパーソナルトレーナーやでないことを前提に考えると「近くにあり、いつでも行ける」というのが強みの一つになるので、年収の高い地域での経営を考えましょう。

2-1.高所得者層の地域を絞り込む

世帯年収1000万円以上が多くいる地域を探しましょう。絶対数と比率を押さえておきましょう。絶対数はその地域の大きさに影響します。比率が高ければ、小さいエリアに高所得者が密集している可能性が高いといえます。実際に1000万円以上の世帯をターゲットにしていなくても、1000万円以上世帯が多い地域は高所得者層が多いといえます。

例えば関東で世帯年収1000万円が10%を超えるエリアは以下の通りです。関東で言えばこのエリアから選択すれば、失敗することは少ないでしょう。

  • 世帯年収1000万円以上の世帯数が5,000世帯以上
  • マンション価格が高く、大手のパーソナルトレーニングジムと競合する可能性の高い東京23区は除外

東京23区外(世帯数, 世帯年収1000万円以上比率)

武蔵野市8,520 12%
国分寺市6,57011%
三鷹市 8,80010%

神奈川県

青葉区24,61021%
都筑区13,54017%
麻生区10,66014%
鎌倉市9,12013%
中原区14,71013%
中区7,71011%
戸塚区11,69011%
港北区16,95011%
横浜市159,95010%
金沢区8,550 10%
宮前区 9,280 10%
泉区8,65010%/td>

千葉県

浦安市9,570 13%

ローデータ:https://github.com/shimizu/H25_yearly_income

2-2.家賃が高い地域を外す

世帯年収1000万以上が多くいる地域であっても家賃が高くては、小規模に事業をはじめられません。例えば、東京23区では世田谷区(世帯年収1000万円以上57,530世帯  13%)、杉並区(29,660世帯、10%)港区(26,310、24%)では世帯年収が高く、その比率も高いといえますが、家賃と都心にある大手パーソナルジムとの競合を考えると避けたほうがよいでしょう。

家賃はできれば10万円以内が理想ですが、高くても15万円以内のエリアで考えましょう。マンションでパーソナルジムを経営する際には1日の来客人数の条件が付きます。不特定多数のお客様が来店することを考えると、住居用のマンションでは店舗として借りることができないので店舗可能なマンションを探す必要があります。また機材の耐荷重や搬入ルート、トレーニングの音や振動に対する建物の構造の条件も考慮する必要があります。そのため家賃が高いエリアでこれらの条件をクリアし家賃15万円程度で考えると23区内は条件が厳しくなります。

また23区内の世帯では 都内どこでも簡単に移動できるので、大手パーソナルジムブランドと競争することにもなるので避けたほうがいいでしょう。例えば世田谷区にある小田急線成城学園前から新宿区や渋谷区代々木までも近く、1セッション1万円を支払って成城学園前のジムに通う必要がないかもしれません。

2-3.商圏の競合情報を調査する

世帯年収の高い立地を選んだら、競合状況を調べましょう。郊外といえども同じようなコンセプトの大手のパーソナルジムが存在しているところに参入するのは初期の立ち上がりが難しいと想定されるので避けましょう。

Googleマップで「パーソナルジム」と検索すればその商圏の競合がわかります。いくつか競合として表示されたら、1のパーソナルジムのコンセプトで差別化されているか調べてみましょう。差別化されていれば、その場所を候補地としましょう。

例えば、「新百合ヶ丘 パーソナルジム」の地図検索した際に、新百合ヶ丘駅近くには、大手のフィットネスクラブ以外検索されておらず、「ダイエット」「ボディメイク」専門のパーソナルジムがないことがわかります。

「新百合ヶ丘 パーソナルジム」の地図検索結果(2018年3月現在)

3.ジムのコンセプトを明確にする

今トレーナーとして行っているトレーニング方法でパーソナルジム運営を考えた場合に、パーソナルジムの種類については変更することは困難かもしれません。しかしどのように訴求(宣伝)していくかは、調整することができます。立地を決定したら競合と差別化できる訴求をしましょう。例えば「ボディメイク専門ジム」とか「ボディビル専門ジム」等、明確にコンセプトを訴求することで競合と差別化を図ることができます。

3-1.競合との差別化ポイントを決める

お客様のニーズやトレンドベースに差別化した訴求をすることが重要です。差別化してもニーズがなければ集客できません。

例えば、ダイエット、ボディメイク、ウエイトトレーニング どの訴求で打ち出したらよいでしょうか。サービスには市場規模があるので、おおよそは把握すべきです。しかし、そのようなデータはあまりないのでインターネットの検索ボリュームや検索のトレンドである程度の一般的なニーズを把握することができます。

3-1-1.検索ボリュームから市場規模の予測をつける

インターネットではキーワードごとに1ケ月でどのくらい検索されているかを知ることができます。沢山検索されているということはそれだけ一般的なニーズが高いということが言えます。検索ボリュームからどのようなジムが今人気なのかを知ることができます。

ダイエットジムならばその駅周辺の地域1番店で十分かもしれませんが、ウエートトレーニングジムならば、その沿線の遠いところからの集客が必要です。

<月間平均検索ボリューム>
「ダイエット ジム」:6,600/月
「ボディ ビル ジム」:590/月
「ボディ メイク ジム」:390/月
「ウエイト トレーニング ジム」:170/月
※2018年2月Google Keyword Plannerでの調べ

店舗の商圏内でトップになることを目指しましょう。例えば「ダイエット」でトップシェアをとることができなくても、「ダイエット 新百合ヶ丘」であれば検索でトップをとることが可能です。検索でトップが獲得できれば、その地域の集客で上位に入ることが可能になります。

3-1-2.Googleトレンドで市場の成長性を確認する

「Googleトレンド」と検索し、キーワードを入力すれば無料でそのワード傾向が見られ、そのキーワード(ニーズ)に対する変化を時系列でみることができます。

参考:https://trends.google.co.jp/trends/

これから開業するならば、ニーズが高まっている市場を狙うのがいいでしょう。停滞している市場はすでに競合が市場を独占している可能性が高く、画期的なサービスでないと、競合に打ち勝つことは難しいでしょう。

下記は2004年1月から2018年2月までの動向です。グラフの高さは検索ボリュームではなく一番検索された時を100とした時の比率です。

「ダイエット ジム」

ダイエットジム

「ボディメイク」

ボディメイク

「ボディビル」

ボディビル

「ボディビル」の検索ボリューム(ニーズ)の傾向を比較するとダイエットジムやボディメイクはこの5年で成長している市場と想像がつきます。「ダイエット」「ボディメイク」をコンセプトにすれば、今のトレンドに乗ったコンセプトになるでしょう。

3-2.価格帯を決める

大手が1セッション1万円程度の価格設定にしているので、価格は1セッション1万円程度にしましょう。1セッション15,000円の設定ができるパーソナルトレーナーは数%といわれているので、最初から1セッション15,000円を想定することはやめましょう。「自宅からの近さ」と「あなたの手厚いパーソナルトレーニング」が差別化ポイントになります。

例)パーソナルジムの価格帯 ※フィットネスジムと出張型パーソナルトレーニングは除く

ライザップ
入会金:50,000円
利用料金:298,000円
2ヶ月全16回、150分コース
(1セッション:18,625円)

24/7ワークアウト
入会金:38,000円
利用料金:月額98,000円
2ヶ月全16回、1回75分コース
(1セッション:12,250円)

リボーンマイセルフ(旧シェイプス)
入会金:20,000円
利用料金:220,000円
2ヶ月全16回、150分コース
(1セッション:13,750円)

エクスリム
入会金:50,000円
利用料金:200,000円
16回+アフターフォロー4回、1回60分コース
(1セッション:10,000円)

クレビック
入会金:50,000円
利用料金:196,000円
2ヶ月全16回、1回50分コース
(1セッション:12,250円)

※ 2018年3月現在(キャンペーン割引は対象外)

4.必ず行うべき3つの集客方法

開業前にできるだけ25人に近い人数の見込顧客を集めておきましょう。(週1回のセッションで1日5セッション×週5日)見込客が足りなければその分開業直後の収入が不十分になり、開業資金を多く用意することになります。

最初に25人の固定客を確保しても、いつかはパーソナルトレーニングをやめてしまうことを考えると、常に25人のお客を維持するために、毎月5人確保が必要です。平均5カ月で退会すると考えると毎月20%離脱、月5人離脱する計算なので月5人獲得しましょう。

開業当初はチラシのポスティングや駅前でのティッシュ配布、新聞の折り込み広告等 広告宣伝費用は使えないかもしれません。インターネットを活用しましょう。

4-1.ホームページの開設

ホームページの開設はホームページの知識がなければ、自分でするより、委託したほうがいい部分です。ホームページの更新はご自分で行えば運用費用が掛かりません。

<ホームページ開設 参考価格>
初期費用:初期5万円
写真撮影:写真撮影5万円~10万円 
運用費:月額:月額1万円

ポイント1:WEB制作は委託しましょう。
専門の方の方が低価格でホームページを開設してくれます。
例)あきばれホームページ https://www.akibare-hp.jp/

ポイント2:ホームページの更新は自分で行いましょう。
運用費をセーブすることができます。情報はこまめに早く更新するのがコツです。質を重視して、更新が遅くなる方が問題です。

4-2.ソーシャルメディアの活用

行うべきソーシャルメディアはFacebook/Instagramです。ユーザー数が多く、実名性が高いことが特徴です。仮にさらに広告を配信する際には、エリア等ターゲットしたお客様に限定する精度が高いことが特徴です。その次に利用するとするならばTwitterでしょう。ソーシャルメディアは委託せず自分で運用しましょう。

ソーシャルメディアにアクセスがあるかどうかは、最初はあなたの口コミがベースになります。積極的に御社のソーシャルメディアのファンを作りましょう。

Facebook30-50代ぐらいの年齢層が高い方に有効です。
InstagramInstagramはFacebookのサービスの一つですが、より若い方や情報感度の高い方向けのメディアですがすぐに会員数でFacebookを上回るといわれています。食事、体、トレーニング方法等「インスタ映え」する写真を掲載しやすいので活用しましょう。
Twitter情報発信として優れていますが、ソーシャルメディアの更新が大変ならば、Twitter実施の優先順位を下げ後回しにしてもいいでしょう。

注意点としては、LINEはお客様との1:1でのコミュニケーションツールとして利用するのが最初はいいでしょう。

4-3.リスティング広告の活用

確実に商圏いるターゲットに存在をアピールするならリスティング広告を実施すべきでしょう。リスティング広告は配信エリアを設定でき、かつ「パーソナルジム」等、直接的なニーズに関わるキーワードで検索されているので、ニーズがある方が検索した時のみに表示される広告です。また広告がクリックされなければ課金されません。費用対効果が非常に高い広告といえます。

例えば「新百合ヶ丘 パーソナルジム」と検索すれば以下の様に表示されます。

新百合ヶ丘パーソナルジム2

口コミ、ホームページ、ソーシャルメディアだけで、十分なお問い合わせが獲得できない場合はリスティング広告を検討しましょう。

5.まとめ

パーソナルトレーナーの職業で年収を900万円以上にするためには、パーソナルジム(マイクロジム)の経営は選択肢の一つとして考えておくべきでしょう。市場があり、パーソナルトレーナーのスキルとマーケティングスキルで独立しやすい業態といわれています。しかし失敗しないためには

  1. 小規模運営
  2. コンセプトと立地
  3. 集客

についてしっかりプランして、検討しましょう。